店舗のれん制作で失敗しない!素材・防炎・色再現のプロ流選び方
店舗の顔とも言える「のれん」。新店オープンやリニューアルの際、デザインにはこだわっても、「どの生地を選べばいいのか」「屋外に出しっぱなしでも大丈夫か」「消防法への対応はどうすればいいのか」といった実務的な仕様選びで迷われるオーナー様は非常に多いものです。
のれんは、設置環境(屋外・屋内)によって最適な素材が全く異なります。間違った選び方をすると、「数ヶ月で色が褪せてしまった」「イメージしていた和の風合いが出ない」「消防の検査で指摘を受けて作り直しになった」といったトラブルに直結します。
明治創業の繊維商社として長年多くの店舗のれんを手掛けてきた私たち「スズキネ」が、失敗しないのれん制作のノウハウを余すところなく公開します。素材の特性から、色ぶれを防ぐデータ入稿のコツ、そして法的リスクを回避する防炎対策まで。この記事を読めば、プロと同等の知識で、自信を持ってオーダーできるようになります。
この記事は次のような方におすすめです。
- 屋外・屋内それぞれに最適なオリジナルのれん素材を知りたい方
- ブランドカラーの色ブレや防炎などの法令トラブルを防ぎたい店舗運営者
- 再発注や短納期にもスムーズに対応したい担当者
1. 失敗しない「屋外・屋内」素材の選び方
のれん制作において最も重要なのが「生地選び」です。デザインが良くても、生地が場所に適していなければ、店舗の品格を損なうだけでなく、耐久性の問題ですぐに買い替えが必要になります。
屋外用は「ポリエステル×昇華転写」が最強
ラーメン店、居酒屋、キッチンカーなど、雨風や直射日光にさらされる場所に設置する場合、昔ながらの「綿」素材はあまりお勧めできません。綿は吸水性が高いため、雨に濡れると重くなり、カビの原因になったり、紫外線による退色が早かったりするためです。
屋外用として現在主流なのは、厚手のポリエステル生地(トロマット等)です。これに「昇華転写(しょうかてんしゃ)」という技法でプリントを行います。
【なぜ昇華転写が良いのか?】
昇華転写は、インクを気化させて繊維の奥まで染み込ませる技法です。表面にインクを乗せるだけの顔料プリントとは異なり、摩擦に強く、発色が鮮やかで、紫外線による色あせにも強い耐性を持っています。ポリエステルでありながら、布の風合いを損なわず、メンテナンスも容易です。
屋内用は「綿・麻」で風合いを演出
一方、店内の厨房との仕切りや、寿司店、割烹、百貨店のインショップなど、雨風の影響を受けない場所であれば、「綿(コットン)」や「麻」といった天然素材、あるいはその風合いを模した素材がベストです。
【おすすめの生地】
- シャークスキン: 鮫肌のようなきめ細かい織り目が特徴。最もポピュラーで、どんなデザインにも合います。
- カツラギ: 厚手で丈夫な綾織り生地。重厚感を出したい場合に適しています。
- ブッチャー(エステル麻): 麻のような透け感とざっくりとした風合いを持つポリエステル素材。和の雰囲気を出しつつ、シワになりにくい扱いやすさが人気です。
「本染め」と「プリント」の使い分け
こだわり派の店舗におすすめなのが、職人が手作業で染め抜く伝統的な「本染め(反応染め)」です。裏側までしっかりと色が通り、使い込むほどに馴染む独特の風合いは、老舗の風格を演出します。
対して、細かいロゴやグラデーション、写真などを表現したい場合は「インクジェットプリント」が適しています。デザインの再現性とコストパフォーマンスを重視する場合はこちらを選びましょう。
2. 知らないと危険!「防炎ラベル」の基礎知識
店舗運営において避けて通れないのが「消防法」です。特に不特定多数の人が出入りする飲食店や商業施設では、のれんやカーテンに対して厳しい規制があります。
防炎物品の使用義務がある場所
消防法により、以下の場所では「防炎性能を持つ物品」の使用が義務付けられています。
- 高層建築物(高さ31mを超えるビルなど)
- 地下街
- 劇場、飲食店、百貨店、ホテル、病院など
つまり、ビルの中に入っているテナント店舗や、地下の飲食店などは、ほぼ確実に防炎のれんが必要です。消防署の立ち入り検査で「防炎ラベル」がないことを指摘されると、撤去や改善命令が出されるリスクがあります。
「防炎加工」と「防炎ラベル」の違い
ここで注意が必要なのは、「燃えにくい素材を使っている」だけでは不十分だということです。「公益財団法人 日本防炎協会」の認定を受けた登録業者が加工を行い、所定の試験をクリアした証である「防炎ラベル」が縫い付けられていることが必須条件です。
スズキネは防炎認定業者ですので、制作したのれんに正規の防炎ラベルを縫い付けて納品することが可能です。後から市販のスプレー等で加工してもラベルは発行できませんので、必ず発注段階で「防炎加工希望」とお伝えください。
洗濯すると防炎効果は落ちる?
防炎加工には、洗濯しても効果が持続するタイプと、洗濯すると効果が落ちるタイプ(再加工が必要)があります。
ポリエステル素材の場合は、繊維自体に防炎性能を持たせたものや、特殊な加工により洗濯後も性能を維持できるものが多くあります。一方、綿素材の後加工などは、洗濯により徐々に薬剤が落ちてしまうことがあります。
設置場所の汚れやすさや、洗濯頻度に合わせて、最適な加工方法をご提案いたします。
3. ブランド色を守る「色指定」とデータ入稿
「ロゴの赤色が、イメージしていた赤と違う」
これは、オリジナルグッズ制作で最も多いトラブルの一つです。ブランドカラーを正確に再現するためには、プロとの共通言語が必要です。
モニターの色と印刷の色は違う
パソコンやスマホの画面で見ている色(RGB)と、実際に布に染料でプリントされる色(CMYKや特色)は、発色の仕組みが根本的に異なります。画面上では鮮やかな蛍光色に見えていても、布に印刷すると落ち着いた色味になることはよくあります。
「データ通りにお願いします」とだけ伝えると、このギャップにより思わぬ仕上がりになるリスクがあります。
「DIC」や「PANTONE」で指定する
色ブレを防ぐ最も確実な方法は、色見本帳(DICカラーガイドやPANTONE)の番号で指定することです。
「DICの○○番のような赤」と指定いただければ、私たちはその色見本チップを基準に、染料を調合し、限りなく近い色を目指して調整を行います。もし色見本帳をお持ちでない場合は、印刷されたショップカードやパンフレットなど、色の基準となる「現物」を郵送いただければ、それに合わせて色合わせを行います。
「色校正」で最終確認をする安心感
大量生産の場合や、絶対に色を外せない重要なのれんの場合は、本番の制作に入る前に「色校正(試作)」を行うことを強く推奨します。
実際の生地に、縮小したデザインや色チャートをプリントしたサンプルをお届けし、お客様の目で確認していただきます。布の質感による色の沈み込みや、透け具合もチェックできるため、安心して本制作に進むことができます。
4. 納期とコストを抑える発注のコツ
オープン日が迫っている、予算が限られている。そんな状況でも、工夫次第でスムーズにのれんを制作することは可能です。
完全データ入稿でコストダウン
デザインデータ(Adobe Illustrator形式など)を、そのまま印刷できる「完全データ」として入稿いただければ、弊社でのデータ修正費がかからず、その分コストを抑えることができます。
手書きのラフ案からデザインを起こすことも可能ですが、その場合は別途デザイン費が発生します。社内にデザイナーがいる場合は、弊社のテンプレートに合わせてデータを作成いただくのが最もお得です。
余裕を持ったスケジュールで特急料金回避
のれん制作の通常納期は、仕様決定・データ確定から約2週間程度が目安です(本染めなど特殊な技法を除く)。
これを1週間で仕上げるとなると、工場のラインを空けるための特急対応が必要になる場合があります。特に3月や9月などの開店ラッシュ時期は工場が混み合います。物件が決まった段階で早めにご相談いただくことで、無駄なコストをかけずに、じっくりと仕様を詰めることができます。
予備を含めた枚数検討
のれんは消耗品です。屋外であれば紫外線や風雨で傷みますし、屋内でも汚れは避けられません。
1枚だけ作るよりも、洗い替え用として2枚、あるいは将来の交換用として複数枚を同時に発注いただくことで、1枚あたりの単価を下げることができます。版代やデータセットアップ費が1回分で済むため、ランニングコストを考えると「まとめ買い」が断然お得です。
5. スズキネが選ばれる理由と制作の流れ
私たちスズキネは、単なる印刷業者ではありません。明治時代から繊維を扱ってきた専門商社として、素材の知識と職人のネットワークを持っています。
プロフェッショナルによる提案力
「和風の居酒屋なんだけど、いい感じの生地ある?」
そんなざっくりとしたご相談でも構いません。お店のコンセプト、外装の写真、予算をお伝えいただければ、数ある生地の中からベストな素材と加工方法をご提案します。
生地の厚み、手触り、透け感。これらはネットの画像だけでは伝わりにくいものです。スズキネでは、実際の生地サンプルを無料でお送りしていますので、手にとってお確かめいただけます。
制作の流れ(5ステップ)
- お問い合わせ・お見積りサイズ、枚数、デザインのイメージ(手書きでも可)、設置場所をお知らせください。
- 仕様決定・ご注文生地や加工方法(防炎の有無など)を決定し、正式にご注文いただきます。
- データ確認・校正入稿データをチェックし、仕上がりイメージ図を作成します。色にこだわる場合はここで試作を行います。
- 制作・加工熟練の職人が、染め、プリント、縫製を行います。防炎ラベルの縫い付けもこの段階で行います。
- 納品完成したのれんをお届けします。届いたその日からお店の顔として活躍します。
6. まとめ
店舗のれんは、お客様が最初目にする「お店の顔」であり、くぐる時にお店の世界観を肌で感じる重要なアイテムです。
- 設置場所(屋外・屋内)に合わせた生地選びで、耐久性と風合いを両立させる。
- 防炎ラベルの有無を必ず確認し、法令順守で安全な店舗運営を行う。
- 色見本や試作を活用し、ブランドイメージ通りの色を再現する。
この3つのポイントを押さえれば、のれん制作で失敗することはありません。
「どんな生地が良いかわからない」「防炎について詳しく聞きたい」
そんな時は、ぜひスズキネにご相談ください。長年の経験と実績に基づき、あなたの店舗にぴったりの一枚を仕立てます。
まずは無料の生地サンプルで質感をチェック
実際の生地の厚みや手触りを確認できるサンプル帳をご用意しています。
お見積りやデザインのご相談も無料です。お気軽にお問い合わせください。
